以前に、インドネシアで銀行口座を開設する方法についてブログを書きましたが、最近、個人のお客様からインドネシアの銀行口座の解約に関する相談が複数ありましたので、銀行口座の解約方法についても書きたいと思います。

相談事例としては、（１）個人のお客様がインドネシアに残してきた自己名義の銀行口座を解約して日本に送金したいというもの、（２）遺産相続で被相続人（故人）のインドネシアにある銀行口座を解約したいというものです。

（１）自己名義の銀行口座を解約する場合

一番簡単な方法は、自分で、銀行口座の開設支店を訪れることです。身分証明書（パスポートなど）と預金通帳、キャッシュカードを持っていけば、通常、解約に応じてくれるものと思います。

しかし、日本にいたりして自分で行くことが難しいという人は、インドネシアにいる代理人（弁護士など）に委任することも、一応可能です。

この場合、日本で委任状を作成して、それに公証人による私署認証（外務省の公印確認を含む）かつ在日インドネシア大使館又は領事館で領事認証を得て、正式な委任状とすることが必要です。なお、上記認証手続きの実費だけで1.5万円程度かかります。

代理人が銀行口座を解約する場合には、認証済み委任状を提出しても、それだけで銀行がスムーズに口座の解約手続きを受け付けてくれるかどうかは、各銀行や担当者によって対応がまちまちであり、（時に不要とも思われる）追加資料の提出や口座名義人本人への電話確認等が求められることもあります。

経験上、代理人がインドネシアの銀行口座を解約して日本に送金することは可能ですが、割と手間がかかり、一筋縄ではいかないように思います。

預金残高が数十万円の場合には、委任状認証手続きの実費や代理人に対する手続き費用を考慮すると、自分でインドネシアに行って解約せざるを得ないように思います。

（２）遺産相続のために被相続人の銀行口座を解約する場合

遺産相続の場合には、相続人が被相続人（故人）の銀行口座を相続したとして、銀行に解約を求めることになります。

この場合は、概ね次のような書類の提出が求められます。

ただし、銀行や担当者によっては、上記以外の書類を要求されることもあれば、上記のうち求められない書類もあるので、ケースバイケースと言えます。

経験上、被相続人の関係者や相続人がインドネシアに居住している場合は、銀行は比較的スムーズに対応してくれますが、関係者がインドネシアにおらず、代理人によって手続きする場合には、銀行の対応が厳格で、（時として不要とも思える）追加書類の提出を求められたりして、手間と時間がかかるように思います。

なお、従前は口座開設支店でしか解約を認めないと主張する銀行があり、代理人が遠隔地の支店を訪問しなければならないということもありましたが、その銀行も、コロナ禍による移動制限で、口座開設支店以外でも解約を認めるようにポリシーを変更したという事案もありました。

※上記は、筆者の見解を交えた説明であり、個別事例への適用については一切の責任を負えません。個別の案件に関しては、別途ご相談ください。

P.S.写真は、以前に訪れたバリ、サヌールのビーチです。遠浅で透明感があり、魚や珊瑚も見られるので、シュノーケルをするのにいいですね。

弁護士　味村　祐作